鳥の歌
昨日のゲネプロに続き
ふたたび紀伊国屋ホールへ
朝から雨降りしきる中
タクシーを待つ
片麻痺で傘を持つのは
杖を持っている人は大変
傘がステッキに付いている
便利なイギリス製の傘
さすが紳士の国
傘にしか見えないが
先がゴムになって
軽くて強度がある
つえ兼用傘の出番!
新宿南口でタクシーを待つ
すぐ来ると思い
傘もささず待つ
前の人で
タクシーが途切れる
折角の便利な傘を持ったのに
濡れてしまう
後で気がつく
紀伊国屋ホールは
地下道で繋がっている
タクシー必要なし
肝心の舞台は
ゲネの時より
声の張り
間の取り方
お笑いの掴み
ダンスシーン
共演者との呼吸
ベテラン俳優たちに支えられ
真っ直ぐな純平を
見事に演じきる
真っ直ぐに真っ直ぐに真っ直ぐに
生きて〜
幻覚の中
母親との再会シーン
「ありがとう!母ちゃん!」
しっかり母親を抱きしめる
純平!
ここまで我慢していた
涙が一気に溢れる
周りでもすすり泣く声が聞こえる
隣の年配の方も
嗚咽を抑えている
別れを告げ
うおーーーーーーーーーーーー!!!
鉄砲玉となり
敵の親分に銃口を向ける
パーーーーーン
ピストルの乾いた音がビルの谷間に響く
暗転
振っきれた純平が何かをつかんだように
純平の魂は
あの空へ鳥になって飛んで行ったのかもしれない
自由になって
伝説のチェロリスト
パブロカザルスの「鳥の歌」が
私の心臓の奥で鳴っていた
もがき苦しんだ後に
すべてから解放される
純平は、きっと鳥になったんだ
カーテンコールに
全出演者から
暖かい拍手に迎えられ
中央から登場した君は
きらきら輝く
透明な滴を目にためていた
まっすぐにまっすぐに
この道を選んできた君
その滴こそ
最高のオスカー
心からおめでとうを