雨の日曜日

ふと目が覚めて

いいアイディアが浮かぶ

暖さんがお客様を撮ってくれている写真を

どうやって本人に渡すか

悩みに悩む

そうだ!ハガキ用のファイルに入れれば

そう思ってガバッと起きて

どこかに入れ忘れたファイルを早朝から探す

あった!ピッタリだ!

何だかほっとする

半年以上探し続けたアイディア

店内貼ってあっても、晒し者にしているようで

気が引けた

それより何よりたくさん貼れない
本人が気がついてくれるようにするには

ズーーーーーッと悩んでいた!

せっかくプリントまでしてくれて

本人に渡す義務を課されたようで

障害者の私には正直負担だった

私の親父と同じ

撮りっぱなし

晩年は離婚したため

全部オフクロに捨てられる

男は別名で保存

女は上書き保存

離婚前でさえ

オフクロは自分の写真を剥がして捨てていた

それ程自我の強い人だった
暖さんのご好意は嬉しい
一生懸命撮ってくれても

気に入らない写真は持っていたくない

そこはオフクロに似ている

まして左半身の麻痺で

顔面まで左半分感覚がないのだから

顔つきが変わってしまう

脳卒中患者が言われるのは

「別人になった」

そのせいもあるのだ!

1番嫌な言葉

言ってほしくない

突然健常者から障害者に

世間の目にさらされ

奇異な目で見られ

ましてオープンなお店をやってい以上

避けられない

身内に同じ病気で苦しんでいる方を抱える方は
すぐに察知してくれる

このファイルの表紙に映る彼女は

開店当初からのお客様

  
つらい看護師生活を乗り越え

付き合ってるお医者さんと結婚するかどうか

悩んでいるようだった

30代後半を迎えようとして
決断を迫られていた

同僚からのイジメに耐えて

ここまでやってきたことを知らされ

私の経験を話す

お母さんも同じ結論を出していた

同じ看護師さんの道を続けていた

1人で娘を育て、経験豊かなお母さん!

後は自分の人生だから

バラ色の人生なんてありえない

覚悟を決め全てを飲み込んで

自分の意志を貫いて欲しい

ディーディーブリッジウォーターが歌う

シャンソン

バラ色の人生

苦悩と悲しみを暗示するような

アフリカンリズムの激しい太鼓の音から始まる

ラビアンローズ

バラ色の人生

強烈に心に残る

バラ色の人生なんてありえない

明日は地獄かも

でも覚悟を決めていれば

恐れる事はない

共に手を取り合い苦難に立ち向かえばいい

そこまで愛していないならば

結婚は諦めよう!

愛は忍耐だよ!

フランス語で歌う

  
あまりパッとしない本国アメリカでの歌手活動

黒人独特のクセのある歌い方が

私も嫌いだった!

でも今は違う

シャンソンを歌うことで

そのアクがなくなっている

モダンで洒落た編曲が素晴らしい

シャンソンファンが聞いても

目から鱗

アメリカンポップ好きな人でも

唸らされるに違いない
同僚からの偏見を打ち破って欲しい

私の苦しみを理解できるあなたは

この結婚で変われるだろう!

それがバラ色の人生さ!

悲しみと苦しみの色こそ本物のバラ色なんだから

君の成長が見られて嬉しい

そして

次の曲は「枯葉

しみじみとフランス語で歌う

ディーディーブリッジウォーターも

成長してる!

  
幼い時から知ってる面影はない

立派な看護師としての自覚と自信に満ち溢れる

黒い帽子とタートルネック
彼女の内面を切り取る

やっぱり暖さんは写真の岡本太郎だ!

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