二人の若者がお店にやってくる一人は大学生、一人は社会人
まだお店は開店していなくとも
私がいれば作ってあげる
「32年やってるけど、8年前に障害者になったので
少し時間がかかるけど」
「サービスのコーヒーでも飲んでいて」
大学生に聞く
「目標は定めているの?」
「はい!理学療法士を目指しています」
「今時の大学生にしては、しっかりしてる」
「大学を目標を見つける場所として、漫然と行ってる
大学生が多いよね!」
「自分はリハビリの道を選びました。」
「それは素晴らしい!若い人は何度でもやり直しが効く
ぶつかる事は山ほどでるよ!それでもそこで得た実感こそが大切!修正しながら続ける事だよ!
大学では実感は学べない。」
私を担当した理学療法士のタマゴとぶつかったことを話す
130万人いるという脳卒中患者さん達
定年退職して、生活に心配ない人達は、リハビリをやる気力に欠ける。
でも生きる為に仕事を続けたい人、まだやり残したことがある人、これだけはやっておきたいという人は、何としても戻りたい。
「基本基本ばかりやっていて生活に応用ができなければ復帰は難しい!
現場に応じた身体の使い方を実感する事が何より大切」
「先生に良く言われます。ここで学ぶ事は
ほんの入り口なんだから」
「経験豊かな療法士さんの下には、患者さんが押し寄せる」
それほど違いがある療法士さんの「技量」と「志し」
私も言ってしまった
「医者を選ぶ権利がある様に、つぶさに観察していた
療法士さんの中で一際印象に残ったベテランのあの人に
お願いしたい」
彼女には後で謝ったけれど、それほど必死だった!
お店を地上げ屋から守るため、病院から
車椅子で向かった八王子地裁!
弁護士なしに自分で主尋問(裁判官が変わってやってくれる)
反対尋問で相手の弁護士と公判で対峙する。
訴訟書類の作成など、全て書記官に聞きながら
全部自分で勝ち取った判決だ!
裁判官も私が戻って、息子と営業を再開させる事を
前提に私の主張を全面的に受け入れてくれる
判決だった。
そうまでして戻りたい私の生き様を受け入れるには
あまりにも若い!
理学療法士は、患者の心に寄り添い、奮い立たせ、
もう一度生活を立て直し、生き甲斐を実感させるという
医者より大変で、難しい事にチャレンジしているのだ。
今日の青年の目を見れば、その覚悟が見て取れる。
単なる就職先を見つけるのとはわけが違う。
でもやり甲斐があり、医者以上に社会的使命は大きい!
医者はcureで精一杯、careまで手が回らない。
君たちの仕事こそ医療で最も大切な事なんだ!
がん患者のリハビリが重要視されている事からも
その応用範囲は極めて広い。
「頼んだよ」
青年は目を輝かせ、私の手をしっかり握る。