台風一過
鳴り響くお祭りの太鼓
32年間
ほとんど行ったことない
小さな団地の
小さな祭り
あちこちから声がかかる
焼きそば食べる?
声をかけてくれる
馴染みの人たち
ビルの谷間に咲いている
小さな祭り
子供達の声が響く
みんなが大切にしている
小さな祭り
居心地のいいベンチに座る
浴衣の子供達が
近寄ってくる
お母さんも
カキ氷を食べる娘さん
みんな顔なじみだ!
「マスター!」
認知症のお母さんを
最後まで見送った娘さん
「お母さん元気?」
「死んじゃった」
ここのベンチに座っていた
お母さん
喉を抑えて息苦しいと言って
そのままあの世へ
祭の太鼓が鳴り響く
お祭りの役員さんが帰り支度を
団地のお祭りは
終わるのも早い
日が暮れる
塩ラーメンがうまい熊八





