お涙頂戴映画は好きではない
そういう匂いがする映画だと思いながらも
多摩センターまで出かける
片麻痺に鞭打ちながら
邦題は「愛を積む人」
そこから推測するに
お涙頂戴映画なのかなー
なんて疑心暗鬼で出かける
それでも良いと考えたのは
私が愛する美瑛が舞台
この映画は、やっぱり
原作の「石を積む人」が相応しい
愛なんて軟弱なタイトルをつけて欲しく無かった
奥さんと共に働いた鉄工所をたたんで、
二人の出会いの山
十勝岳が見渡せる終の住処美瑛に
人間関係は実にシンプル
その夫婦と今は疎遠になった娘
マイホームの周りに石塀を積むために
やって来た青年とその恋人
一緒に暮らす夫婦の過去と日常
そこに関わる事になった
青年と彼女を丹念に描いている
誇張もなく坦々と
紅葉した葉がこすれ合う
秋の日差しのなかで
持病の心臓病のために倒れる妻
そこからクライマックスへたたみ込む
なんのてらいもなく
最後まで石塀の完成を待ち望む妻の思いに
私達は涙を誘われる
石垣の塀は、どの石を取っても同じものは無い
それを一つ一つ積み上げる事が
男女の愛
夫婦の愛
親子の愛
そして生命の誕生を通して
人間愛にまで消化される
もう一つ伏線にある
積み上げてきたもの
それを目にした時
涙か溢れる事を
誰も抑えることはできないだろう!
やっぱりタイトルは
「石を積む人」がいいよ!
