イチョウは英語で「ginkgo」といいます。
食べる「銀杏」のことは「ginkgo nuts」といいます。
Dieses Baums Blatt, der von Osten
東洋から来てこの庭に育った
Meinem Garten anvertraut,
いちょうの木の葉には
Gibt geheimen Sinn zu kosten,
心あるひとをよろこばす
Wie’s den Wissenden erbaut.
ひそかな意味がかくれています
Ist es e i n lebendig Wissen,
これはもともと一枚の葉が
Das sich in sich selbst getrennt?
二つに分かれたものでしょうか
Sind es zwei, die sich erlesen,
それとも縁あって結ばれた
Daß man sie als e i n e s kennt?
二枚が一つに見えるのでしょうか
Solche Frage zu erwidern,
もしその答えが知りたければ
Fand ich wohl den rechten Sinn;
わたしにいい考えがあります
Fühlst du nicht an meinen Liedern,
あなたはわたしの詩を読んで感じないでしょうか
Daß ich eins und doppelt bin?
わたしが一人でありながらいつも二人だと
この銀杏並木で
お店を開ける喜びを感じながら
二人の愛が結ばれますように
クレープアンより
祈りを込めて
PS
Ginkgo, Ginko [ギんコ] は「イチョー」の別名の日本語銀杏から出た言葉である。『大辞林第三版』によれば「ぎんなん」は「ぎんあん」の連声と記されている。18世紀初め植物学者のケンペル(Engelbert Kämpfer)がこの樹木をヨーロッパへ紹介した際、Ginkjo(『漢辞海第二版』では「銀杏ギンキョウ」)と記したのを、Ginkgo と誤って伝えられた、との説がある。それはともかく、学名Ginkgo bilobaと聞けば、60代のゲーテが愛人の銀行家の妻マリアンネ・フォン・ヴィレマー(Marianne von Willemer)に捧げた『西東詩篇』(1819)の中の詩をすぐ連想する方もいらっしゃるであろう。