海辺のシーンから撮影が始まった「万引き家族」
「海街ダイアリー」を思い出す
それぞれの姿で
海にせり出す家族
是枝監督の光
それは希望と喜び
母親の年金で暮らす家族
是枝監督の影
家族の万引きと家族の絆
ひとつひとつの人生の糸を紡ぎ出す
是枝監督の光と影
ステテコ姿の親父に手を繋がれて
海に出たあの日
やがて我が子の手を引き
海に出た自分と重なる
深い深い海に
飲まれるかもしれない
その恐怖を超えて
しっかり我が子の手を握る
突然親父がこけてステテコが濡れる
お尻が透ける
そんな親父を嫌がる年頃の娘
家族の絆は微妙な距離で成り立つ
浜辺で見守る
日よけ傘の下のおばあちゃん
思わず「きれいね」
と唇が動く
そして
「ありがとう」と
かすかに動いていたな〜!
おばあちゃんの唇
メイキング映像を見ながら
映画の真髄を見出すようだ
是枝監督に見る深い感性のひだに隠された糸
その糸こそ
是枝監督の意図につながっている
脚本ですら
その糸を引き出すために
突然引っ張り出したり
付け加えられる
いつもいつも
映像の流れの中で
紡ぐ作業が続く
是枝裕和監督 56歳
メイキング